あの日のこと
2021.03.12
午後3時30分
Twitterをのぞくと、何やらTLがザワついている。ファンクラブからメールがきているらしいとのことですぐメールを確認した。
16:00に、大切なお知らせがあると。
何やら不穏だ。
こんな形で発表するようなことって、どんなことだろう。きっといい事ではない、と思った。いい事だったらV625(当時)、JohnnysWeb、といった場所で発表があるはずだから。だから今回のこれは、何かとんでもなく重大なことなんだろう…と。
とにかく緊張していた。
指先が尋常じゃないくらいに冷たかった。
午後4時
急いでFCに飛ぶ。開く。
長い文章が目に飛び込んできた。
正直、一言一句を読んでいなかった。
大切なお知らせの正体を、早く知りたかったから。
今思えば、なんて誠意のないことをしてしまったのだろうか。
ある文のところで、スクロールの指が止まった。
…………?
え…
なんで、
心に大きな衝撃を受けたとき、人は言葉を失うのだと知った。
文書の一番うしろの6人の署名。
これまでに何度も見た6人それぞれの字がそこにあった。
これが、起こっていることが本当のことだと訴えかけているようだった。
言葉が見つからなかった。
感情がない時間が続いた。
V6がV6ではなくなること、6人は2年も前からそのことを話し合っていたということ、
森田さんが事務所を退くこと、
昨年の25thライブがV6を閉じることを決断したうえでの作品だったこと。
…たった今知った事実だけが頭の中を巡っていた。
母に話しかけた。
「…お母さん」
緊張していた。このことを家族に言うのに、緊張した。溢れそうになる悲しさをぐっと押し殺した。人前では絶対に泣きたくないという頑固でいじっぱりな私の性分がそうさせた。
母)「何?そんな深刻なカオして。死にそうなカオだよ、あんた」
私)「…V6ね、解散するんだって」
それ以上、何も口に出せなかった。
喋ったら確実に泣いてしまう気がしたから。
自室にこもった。ただひたすら、虚無だった。
メッセージ動画を再生した。6人が喋っている。ファンに誠意をもって包み隠さずに真実を伝えてくれている。
6人がとても大切なことを話している、6人のことを見なきゃ、声を聞かなきゃならないのに、6人の顔を見れなかった。
井ノ原さんがあの4文字を発音する日がくるなんて、ただの1度も考えたことがなかった。
…息を上手く吸えない時間が続いた。
V6は、私の青春だ。
17の夏のはじめに彼らに出会い、それから急速に好きの気持ちが熟成され、ここまできた。19になった今でも、その気持ちは留まることを知らない。
湿って自虐ばかり繰り返していた根暗な私の人生に、6人はたくさんの明るくキラキラした感情を与えてくれている。
私は、V6に出会ったことで、少しだけ明るく優しくなれたかもしれない。
…6人には、本当に感謝しかない。
6人のことを想って過ごしたこの3年のことは今でも鮮明に思い出せるのに、
6人に出逢う前の17年間、どうやって生きてきたのかが思い出せない。
…いったいこれからどうやって生きていけばいいのだろう、
またでた、自己中心的思考回路。
自分の悪い癖だ。
午後4時半
各報道番組が、速報でV6のことを取り上げた。ひとつだけ録画をした。このことも残しておかなくてはと、かろうじて残っていた自分の理性がはたらいた。
でも、その番組を再生する覚悟はまだない。
家には親や兄弟がいるから、その人たちのいる前で涙腺を決壊させるわけにはいかなかった。
潤んでいく目を必死に乾かした。
午後6時
TLをみることにした。あたりまえだけど動揺しかみられなかった。
こういうとき何を喋ればいいのか、分からなかった。全く想像したことがないことが現実に起こっている、いっそ沈黙を貫くかとも考えたけど、V6が好きすぎて始めたTwitter、今話さないでどうする…と悩んだあげく、
ようやく文字を打つことを決めたのは18:45のことだった。
大好きな6人。
— はち🥦 (@0303_hb) 2021年3月12日
衝撃がとまらなくて。目を抑えるティッシュが原型を留めてない。
文書読んで、何度も、これは夢かもしれないと疑った。まだ頭が混乱してる。→
夕飯はコロッケだったような気がする。
時が経ってもこの日の夕飯の内容を覚えてるのは、ショックで消化管が食事を受け付けない状態で無理やり粘着質なコロッケを飲み込み危うく窒息しかけたから。
午後11時
思いの丈をノートに書きなぐった。
字が汚ったない。
あのときの私はあの日の感情をできるだけかたちにしておきたかったらしい、ノートの隅から隅までぎっしりと、あの日のことが書かれていた。
3月12日
本当に、これは現実かと何度も疑った。いつだってファンのことを想ってくれる6人の決断。(メンバー)全員が「不惑」になった今、V6は解散することになった。
そして、剛くんは事務所を去って役者として独立する。思いをうちあけること、幾度も迷ったと思う。メンバーのこともファンのことも、大切に愛してくれる剛くんだから。VDの動画(Valentine Smile Up)、他のタレント大半が“ありがとう”の5文字で感謝を伝えるなか、剛くんは「そばにいてくれて、ありがとう」と、まっすぐカメラを見て、私たちに伝えてくれていた。どこまでも優しい人。
いつもそばにいてくれる、6人は。今は、というか11月1日を過ぎても悲しみが消えることはないし、V6に思いを馳せては切なく苦しくなってしまうことが度々起こると思う。ずるずる引きずり続ける。引きずるってことは、それだけV6を想う気持ちが強いからだろうと思う。今後の人生で、V6との出逢いに匹敵する出逢いなどそうそうない、きっと。こんなに素晴らしい出逢いはない。ありがとう、V6。
こんな風に6人への思いを巡らし、3月12日の夜は更けていった。今更気づいたが、発表の日付はデビュー26周年=312ヶ月にあやかっているのかもしれない。
2021年11月1日、V6はその歴史を閉じ、6人は第2の人生とも言うべき新たな道を行く。
…理解はできる。6人の想いを尊重したい気持ちは何より強く確かな思いとして胸の内にある。ただ、自分の心が追いついていない。ただ無理に追いつこうとしてもしんどい。
時間はかかってもこのことを受け止められるように現実に向き合いたい。
そして、最後の1日まで“今を生きるV6”を見つめていたい。